くすり教育と薬物乱用防止教育の充実を

一般社団法人 日本くすり教育研究所
代表理事 加藤 哲太

 現代の社会では生活習慣病やアレルギー性の疾患が増加し、セルフメディケーションの必要性が注目されています。医薬品等に関する法律でも、「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない。」と記載されています。こうした社会背景は当然、学校教育の場にも反映され、現在、学習指導要領の中で、中学校・高等学校の保健体育:保健分野において、「医薬品の適正使用」に関する教育が行われています。社会のニーズに従って、義務教育の場でも、セルフメディケーションの基盤づくりとしての「くすり教育」がスタートしました。さらにより充実した「くすり教育」のために、保健指導などを通じ、小学校からの「くすり教育」も各地で実施されています。

 私たちの願いである、「青少年が健康で健全な生活を送る」ためには、セルフケア・セルフメディケーションの基盤となる医薬品の適正使用のほか、薬物乱用や喫煙・飲酒の危険性、等に関する教育も重要なものとなりますが、これらは当然相互に関連し合っています。個々の項目について指導するとともに、これらを総合的に判断し、行動できる能力を育成することが重要となります。健康教育の根幹には「自己を大切に思う気持ち」が重要であることは言うまでもありません。

 一方で、青少年のための健康教育の質の向上のためには、保護者への教育の重要性も痛感しています。保護者への情報提供、親と子供がともに学ぶ「健康教育の場」の提供などが今後ますます重要になってくると考えています。

 学校における教員による指導に加え、地域の医師・薬剤師等が積極的に参画し、活動することが、こうした健康教育の発展には、不可欠だと考えます。「日本くすり教育研究所」はその活動をより積極的にサポートすることを目的として設立しました。

 今後、社会のニーズにより、多くの医師・薬剤師や教職員の方々と協働して、青少年の健康教育、さらには市民の健康教育に寄与できる活動を進めていきたいと考えています。