katoutetuta

現代の社会では、アレルギー性の疾患や生活習慣病の増加が注目されており、これらには食生活の変化や近代社会のストレスなどが関与するといわれています。

高齢化が進むと、当然退行性疾患も多くなります。身体をこのような疾患から守るために、「セルフメディケーション」、すなわち「自分で自身の健康を保持増進や疾病の予防に努め、さらには必要に応じて薬が適正に使用できる。」ことが必要となります。

このセルフメディケーション実現のための行動としては、次のことが考えられます。

(1)自分の健康状態を常にチェックする(健康管理)
(2)自分で病気にかからないための生活改善を実践する(予防)
(3)生活者が健康や病気に関する正しい知識を持ち、薬の基礎知識と適切な使い方(医薬品の適正使用)を身につけている。

(1)(2)については、国の健康政策として「健康日本21」、すなわち、「21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための、新しい考え方による国民健康づくり運動」、で進められています。

(3)のための基盤となる「くすり教育」への注目も高まってきました。平成17年、中央教育審議会の「健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会」では、審議の状況報告で、「すべての子どもたちが身に付けているべきミニマム:保健で身に付けるべきもの」として、「医薬品の有効性や副作用を理解し、正しく医薬品を使うことができる。」が提言され、中学校(平成24年度より)及び高等学校(平成25年度より)の学習指導要領に基づき、「くすり教育」が実施されることになりました。

「くすり教育」は単に知識を習得するためだけに行われるものではなく、自分で判断し行動できる能力を養って初めて意味をもつものとなります。当然、身体や健康について興味と知識のレベルにあわせて、繰り返し教えることが必要であると考えています。小学生からセルフメディケーションに関する教育を始め、中学生、高校生へと進めて効く必要性も感じています。さらに、大人・市民の薬に関する知識のレベルアップも不可欠です。

日本くすり教育研究所は、こうした社会のニーズをサポートしプロモートすることを目的とした設立しました。「くすり教育」に興味を持ち、意義を感じ、活動を進めていく方々と、情報を共有し、教育理念を共有し、教育内容の充実を目指すものです。薬剤師その他医療関係者と教育関係者の協働活動の中で、この取組みが広がっていくことを願っています。