多用な暮らしに対応した食育の推進を~平成29年度食育白書

 農林水産省がこのほど発表した「平成29年度食育白書」では、「多様な暮らしに対応した食育の推進」について特集。第3次食育推進基本計画に掲げた事項の具体的な取り組み状況について、コラムやさまざまな事例が織り込みながら紹介し、全体的に分かりやすい内容になっている。

 国は2016年度から2020年度までの5年間を対象に、「第3次食育推進基本計画」を実施。基本的な方針として、
(1)若い世代を中心とした食育の推進
(2)多様な暮らしに対応した食育の推進
(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進
(4)食の循環や環境を意識した食育の推進
(5)食文化の継承に向けた食育の推進
 を重点課題として規定している。

 このうち「多様な暮らしに対応した食育の推進」については、同白書の第1部「食育推進施策をめぐる状況」で特集として取り上げている。具体的には「食卓を囲み、食事を共にすること」に着目し、家族と一緒に食べる食事の状況、一日のすべての食事を一人で食べている「孤食」の状況などを解説。週の半分以上が「孤食」だと答えた人の割合は約15%で、平成23年に比べて増加していた。

 一方、「地域等で共食したいと思う人が共食する割合」は平成29年度で72.6%。第3次基本計画作成時の64.6%から増加し、2020年度までに70%以上という目標をすでに達成。同白書では、家族と食事を共にすることが難しい人でも、地域や職場などのコミュニティーでさまざまな人と食事を共にする機会を持つことが重要、としている。

 また地域住民などによる自主的な取り組みとして、無料または安価で栄養のある食事や、温かな団らんを提供する「子供食堂」における食育の取り組みについても紹介している。

 また、第2部「食育推進策の具体的取り組み」では「家庭における食育の推進」を第1章で解説。文部科学省の調査で、朝食を食べないことがある小中学生の割合は、小学6年生で13.1%、中学3年生で17.3%だったが、毎日朝食を食べる子どもほど学力調査の平均正答率が高い傾向にあることなどを説明している。

 第2章では「学校、保育所等における食育の推進」について取り上げ、公立小・中学校等の栄養教諭配置数は全都道府県で6092人(平成29年5月1日現在)だったことなどを紹介。学校給食は、全小学校数の99.2%、全中学校数の89.0%で実施(平成28年5月現在)されており、第3次基本計画の目標である「中学校(公立)における学校給食実施率(2020年度までに90%以上)」は、平成28(2016)年度に90.2%となり、目標を達成したとしている。

 さらに第3章は「地域における食育の推進」として、「食事のバランスガイド」の活用や、若い世代への食育の推進を進める必要性などについて言及している。

 ほかにも生産者と消費者の交流の促進を図るグリーン・ツーリズムや農林漁業体験、食品ロス削減、食文化の継承のための活動など多彩な内容について、コラムや事例を織り交ぜながら分かりやすく解説。第3部では、第3次食育推進基本計画で掲げた目標値の平成29年度における進捗状況等について記述されている。

プレスリリース『「平成29年度食育白書」の公表について』(農林水産省)

記事提供:日本医療・健康情報研究所