先天性風しん症候群を防ぐ方策などを議論―厚生科学審議会感染症部会

 第26回厚生科学審議会感染症部会がこのほど開かれ、患者報告数の増加が懸念されている風しんの発生状況等について報告があり、対策などが審議された。
 問題化している先天性風しん症候群(CRS)を防ぐための方策としては、妊娠を希望する女性、妊婦、その同居家族に対して抗体検査を受けてもらうよう周知するなどしていく。

 厚生労働省健康局作成の資料「風しんの発生状況等について」によると、CRSは風しんに対して免疫のない女性が妊娠初期に罹患(りかん)した場合、出生時に引き起こされる障害で、先天性心疾患や難聴、白内障が三大症状とされる。

 また、厚生労働省の「風しんに関する特定感染症予防指針」では風しん対策の概要として、CRSの発生をなくすとともに、2020年までに風しんの排除達成を目標としている。

風しんの患者数増加と背景

 しかし2018年度は9月19日時点で642人の患者数が報告されており、2017年度の93人をすでに大きく上回っている。

 都道府県別では東京が196人、千葉県が161人、神奈川県が68人、埼玉県42人などと関東圏が全体の7割以上を占める。

 9月19日までの暫定値で、性別・年齢階級別においては30~50代男性の診断報告数が圧倒的に多い。

 これは1974年4月2日以前に生まれた男性は、定期接種の機会がなかったためで、この年代の男性は抗体保有率がほかの年代に比べて低いとされている。

風しん年齢別予防接種.jpg

風しん性別年齢.jpg

 そのためCRSを防ぐための方策として、同部会では

① 風しんの症状や感染力、妊婦への影響(CRSの発生)等について正しく理解いただくよう周知

② 妊娠を希望する女性、妊婦およびその同居家族に対し、抗体検査を受けていただくよう周知

③ 抗体検査の結果、抗体価が低かった場合に予防接種を受けられるよう環境整備を行う(妊婦への予防接種は禁忌であるため、留意が必要)

として審議が行われた。今後も風しん排除のため、長期の対策について議論していくという。