【新型コロナ】子供の半数がネットを過剰に使用 子供の肥満傾向は成長してから肥満やメタボにつながる
コロナ禍に、子供の半数がインターネットを過剰に使用しており、5人に1人はインターネット依存が強く疑われることが、国立成育医療研究センターの調査で明らかになった。
子供の⻑時間のスクリーンタイム(テレビやパソコン、ゲーム、スマートフォンなどの画⾯を視聴している時間)は、⼩児肥満と関連していることも示されている。
「⼗分な⾝体活動や睡眠時間を確保することで、子供の肥満のリスクを低減できると考えられます」と、研究者は述べている。
子供のインターネット使用を調査 半数が「過剰」 5人に1人が「依存」
コロナ禍に、子供の半数がインターネットを過剰に使用しており、5人に1人はインターネット依存が強く疑われることが、国立成育医療研究センターの調査で明らかになった。
同センターは2020年から、小中高生とその保護者を対象に「新型コロナウイルス感染症流行による親子の生活と健康への影響に関する実態調査」を実施している。今回の報告は、2023年秋に実施した最新調査の結果を含めた経時的なもの。
「インターネット依存度(YDQ)」は、「あなたは、インターネット使用を制限したり、時間を減らしたり、完全にやめようとしたが、上手くいかなかったことがたびたびありましたか?」など、8項目の質問の合計点により判定するもの。
調査の結果、インターネット依存については、インターネットを過剰に使用している子供は半数に上り(2022年は全体の48.3%、2023年は全体の51.3%)、インターネット依存が強く疑われる子供は5人に1人に上った(2022年は17.2%、2023年は19.8%)。
インターネット依存が強く疑われる子供も5人に1人
子供の抑うつ症状は「改善なし」
さらに、「日本語版SDQ」(子供の強さと困難さアンケート)を用いて、直近半年の子供の情緒や行動について保護者に質問したところ、「総合的な困難さ(仲間関係の問題、多動・不注意、情緒の問題、行為の問題)」の指標については、2021年と比べて2022年には明らかな改善はみられなかったものの、2023年度調査では有意な改善がみられた。
また、協調性や共感性などの「向社会性」を表す指標については、2021年と比べて2022年に改善がみられ、2023年も引き続き改善傾向が続いていた。
一方で、子供本人が自分を評価する「こころの状態」については、中等度以上の抑うつ症状が、2021年は11.4%、2022年と2023年は13.3%となり、改善はみられなかった。思春期の子供を対象としたうつ症状の重症度尺度「PHQ-A」を用いて判定した。
研究グループは今回、層化二段無作為抽出法により、全国50自治体から選ばれた小中高生の子供とその保護者を対象に調査票を郵送し、2020年12月から毎年秋~冬に調査を実施した。
「コロナ禍をきっかけに始まった本調査により、子供たちのさまざまな状況や背景が明らかになりつつあります。それぞれの課題に対して、必要かつ最適な対応を考え、実践していくことが求められています」と、研究者は述べている。
調査結果の詳細は、国立成育医療研究センター「コロナ×こども本部」のサイトで公開されている。
スマホなどのスクリーンタイムが長い子供は高リスク
⼗分な⾝体活動や睡眠時間を確保することが大切
子供の⻑時間のスクリーンタイム(テレビやパソコン、ゲーム、スマートフォンなどの画⾯を視聴している時間)は、とくに⼥⼦で⼩児肥満と関連していることが、新潟⼤学などの調査で明らかになった。
⼩児肥満は成⼈肥満に移⾏しやすく、2型糖尿病などの⽣活習慣病のリスクを⾼めるため、⼩児期の⽣活習慣は重要だ。
研究は、新潟⼤学⼤学院医⻭学総合研究科⾎液・内分泌・代謝内科分野研究室が、新潟県阿賀野市および三条市と共同で行っているもの。
研究グループは、⼩中学⽣を対象に、⾝体活動や睡眠、⾷事などの⽣活習慣実態調査や⾎液検査、⾎圧測定を含む健康診断を実施している。
今回は、2018〜2019年に両市の⼩中学校に通っていた⼩学5年⽣〜中学2年⽣2,242⼈(⼥⼦ 1,278⼈)を対象に調査を実施した。
その結果、⼩学5年⽣〜中学2年⽣(10〜14歳)では、⼥⼦で、⻑時間のスクリーンタイム(スマートフォン、スマートフォン以外のどちらについても)と肥満が関連していた。
スマートフォンのスクリーンタイムが3時間以上で、スマートフォン以外のスクリーンタイムが2時間以上の⼥⼦では、どちらにも該当しない⼥⼦に比べて、肥満を有するリスクが7倍に上昇することが判明した。
一方で、⼀定以上の⾝体活動や睡眠時間を確保することで、肥満リスクを軽減できる可能性も⽰唆された。
スクリーンタイムが4時間以上5時間未満、あるいはスマートフォンのスクリーンタイム2時間以上の子供は、1⽇の⾝体活動(運動や⽇常⽣活で⾝体を動かす時間)を60分以上、あるいは睡眠時間を8.5時間以上確保できていれば、肥満リスクは上昇しなかった。
「子供の運動・⾷事・睡眠時間などの⽣活習慣を同時に調査することにより、⼗分な⾝体活動や睡眠時間を確保することで、肥満のリスクを低減できる可能性が示されました」と、研究者は述べている。
新潟⼤学⼤学院医⻭学総合研究科 ⾎液・内分泌・代謝内科分野研究室
Association between screen time, including that for smartphones, and overweight/obesity among children in Japan: NICE EVIDENCE Study 4 (Endocrine journal 2024年1⽉11⽇)
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