成人男性にも風しんワクチン接種を呼びかけ~国立感染症研究所

 国立感染症研究所は、妊婦が風しんウイルスに感染することによる出生児の先天性風しん症候群を予防しようと、成人男性にも風しんのワクチン接種を勧めるポスターを毎月、制作し、啓発活動を行っている。

 風しんの免疫のない女性が妊娠初期に罹患すると、風しんウイルスが胎児に感染し、出生時に「先天性風しん症候群」と称される障害を引き起こすことがある。妊娠可能な年齢の女性で風しんの抗体がない場合は、ワクチンで免疫を付けるのが最も重要な予防策となる。

 一方で、30代から50代男性の風しん交代保有状況は、ほかの年代に比べて低く、風しん流行の中心になりやすい。そのため夫はもちろん、広くこの年代の男性に対してワクチン接種を呼びかけ、社会全体で予防に努める必要がある。

 風しんは2012年と2013年に大きく流行し、2011~2014年の報告患者数合計は17,429人。

 このときの流行の中心は20~40代の男性と、20代の女性であり、妊娠出産する世代の周辺で風しんが流行したため、多くのCRSが発生したと言われている
(IASR Vol. 36 p. 122-123: 2015年7月号『産婦人科医からみた2012、2013年の風しん流行の課題』横浜市立大学大学院医学研究科 生殖生育病態医学 平原史樹)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2315-related-articles/related-articles-425/5773-dj4253.html)

 2017年度の風しん報告数は第43週までで79件あり、流行期に比べると低い水準で推移しているが、依然、ゼロにはならないことから、今後何らかのきっかけで流行する可能性もある。国は2020年度を風しん排除の目標年に定めていることもあり、今後も啓発活動を続けていく考え。

成人男性も風しんの予防接種を受けましょう(国立感染症研究所)

記事提供:日本医療・健康情報研究所