健康スコアリングの詳細設計に関する報告書を公表―日本健康会議
日本健康会議はこのほど、健康保険組合等の加入者の健康状態や医療費、予防・健康づくりへの取り組み状況などをスコアリングして経営者に通知する「健康スコアリング」の詳細設計について報告書をとりまとめた。厚生労働省・経済産業省と連携し、有識者のワーキング・グループで内容を検討してきたもの。2020年度以降の本格稼働に向け、実効性の高い取り組みになるよう検証した結果や今後の方向性がまとめられている。
政府は「日本再興戦略」(2013年6月閣議決定)で、国民の”健康寿命の延伸”を重要な柱に掲げて予防・健康づくりの取り組みを推進。健保組合などの保険者は健診・医療情報を活用し、PDCAサイクルに沿った効果的・効率的な保健事業の推進を図るために「データヘルス計画」を策定し、2015年度から第1期データヘルス計画を実行してきている。
一方、さらに被用者保険における加入者の予防・健康づくりを効果的に実施するためには、企業と保険者が連携し、一体となって取り組みを進める「コラボヘルス」が重要となる。そこで「未来投資戦略2017」(2017年6月閣議決定)では、保険者のデータヘルス強化・企業の健康経営との連携(コラボヘルス)の推進を図るため、厚生労働省と日本健康会議が連携し、各保険者の加入者の健康状態や健康への投資状況等をスコアリングし、経営者に通知する取り組みを来年度から開始することが示された。
健康スコアリングは、企業と保険者が従業員等の健康に関する問題意識を共有することで、コラボヘルスが促進され、従業員等に対する予防・健康づくりの取り組みが活性化されるのが目的。そのことで企業の生産性向上や将来の医療費の適正化に寄与することも期待されている。
また、健康スコアリングレポートは従業員等の健康状態や医療費等について全国規模で比較した立ち位置が共有できる。そのため、企業と保険者の連携を深めるためのコミュニケーションツールとしても活用できるほか、その後の詳細なデータ分析にも効果的とされている。
報告書では、2018年度の健康スコアリングレポートは、健保組合を対象にレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)で取得可能な特定健康診査および特定保健指導データ、レセプトデータを活用するのが望ましいと解説。
また特定健診等の実施状況を示したうえで、加入者の状況(健康状況・生活習慣・医療費)を示すことが効果的として、記載するのが望ましい事項や様式は別紙で公開している。
一方、実効性の高い取り組みにつなげるため、保険者や企業の実務担当者向けに健康スコアリングの趣旨や各指標の見方、活用方法などを記載したガイドラインも配布している。
2018年度実施分については、今夏をめどに健康スコアリングレポートを発出。結果をもとに今年中に効果検証を行い、ワーキング・グループでフォローアップする予定。
2019年度はNDBデータを利用した健康スコアリングレポートの発出を継続するとともにシステム改修も実施し、2020年度以降の本格稼働を目指していく考え。また本格稼働に向けては、レセプト・特定健診等以外のデータ活用や、必要なデータ整備についても順次検討していくという。
「健康スコアリングの詳細設計に関するワーキング・グループ」の報告書を公表しました(日本健康会議)
記事提供:日本医療・健康情報研究所