近くの薬局で生活習慣病の検査ができる「ゆびさきセルフ測定室」 全国に拡大中 コロナ禍でも自分の体をチェック
薬局で手軽に検査ができる「検体測定室(ゆびさきセルフ測定室)」は、全国に増えている。
メタボや糖尿病予備群の段階でも、自分の体の状態を知っておくことが大切だ。
家庭ではかれる体重や血圧値を健康のバロメーターとして把握している人が多いが、糖尿病の通院治療を受けているのでなければ、自分の血糖値などを把握できている人は少ないのではないだろうか。
実は近くの薬局やドラッグストアなどで、過去1~2ヵ月の血糖値の平均を反映するHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)などの測定を簡単に行うことができるのをご存知だろうか? HbA1cは測定の直前の食事や運動などによって値は変動せず、血糖のコントロール状態が分かる。
自己穿刺により採取したわずかな血液をもとに、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病に関係のある項目を測定できるスペースが「検体測定室(ゆびさきセルフ測定室)」だ。
忙しくて健康診断を受けられないという人でも、20分~30分程度(測定の説明から結果の説明まで)の時間があれば、近くの「ゆびさきセルフ測定室」で測定することができる。
国のセルフメディケーション推進の流れに後押しされるかたちで、薬局やドラッグストアなどを中心に、「ゆびさきセルフ測定室」を開設する店舗は増え続けている。
糖尿病は、糖尿病予備群といわれる初期の頃には、自覚症状がほとんどない。糖尿病は血糖値やHbA1c値を総合的にみて診断されるが、こうした検査値は医療機関などでないと分からない。
実際には、忙しいなどの理由で健康診断を受けられていないという人も多い。とくに、新型コロナウイルス感染症が拡大した影響で、健康診断を受けられず、メタボや前糖尿病の状態の人が糖尿病になったり、これまで血糖に問題のなかった人でも前糖尿病になったりすることが大いに懸念されている。
糖尿病予備群の段階でも、血管がいたみ血液の流れが悪くなる動脈硬化は進みやすくなっており、脳や心臓の血管の病気のリスクは上昇する。また、糖尿病が発見されたときには、すでに病状が進行してしまっていたという例も少なくない。早くから自分の体の状態を知っておくことが大切だ。
「検体測定室連携協議会」は、ゆびさきセルフ測定室の情報共有や、ガイドライン遵守など、有識者と実践者で連携して協議し、情報発信を行っている。
同協議会の執行委員長であり、筑波大学准教授の矢作直也先生は、次のように述べている。
糖尿病の患者数は、この50年間で40倍にも増え、国内では、糖尿病と糖尿病予備群をあわせて、約2,000万人にも達しています。ところが、多くの方が「まさか自分は糖尿病にならないだろう」と考えているため、自覚症状がないままに病気が進行することも珍しくありません。なお、糖尿病だけでなく他の生活習慣病も、その対策はいまだ不十分といえます。
健康維持のためには年齢にかかわらず、見えない体のサインに、いち早く気づくことが大切です。私たちは、「ゆびさきセルフ測定室」の設置を通じて、セルフケアの意識を高め、健康寿命の延伸を実現させたいと願っています。
血糖値などが気になる方などは、お近くの血糖測定実施薬局まで、お気軽にお越しください。
全国の「ゆびさきセルフ測定室」を設置した薬局などの検索は、同協議会が公開しているサイト「ゆびさきセルフ測定室ナビ」の、薬局検索ページから検索できる。
薬局などで行う測定では、医療機関での検査とは異なるため、測定結果をもとに診断することはできない。「ゆびさきセルフ測定室」では、基準値を超えているなど、気になる結果が示された場合は、速やかにかかりつけ医や医療機関を受診するよう案内している。
同協議会は、全国の「ゆびさきセルフ測定室」が2020年12月末時点で、2,000件を超えたことを発表した。
「検体測定室の活用により、生活者のヘルス・リテラシー向上と適切な受診勧奨による疾病の早期発見、重症化予防につながり、健康寿命延伸を実現する一助となることが期待されます」としている。
「ゆびさきセルフ測定室」を運営している件数を都道府県別にみると、石川県、東京都、福島県、千葉県、岩手県、埼玉などで100件以上になっている。そのなかでHbA1cを測定できる施設は8割を超えている。
HbA1cや血糖以外にも、TG(中性脂肪)、悪玉のLDLコレステロール、善玉のHDLコレステロールなどを測定できる施設も多い。
同協議会では、次のように述べている。
今後は健康サポート機能を有する薬局やドラッグストアを中心に、検体測定室数のさらなる増加が予測されます。