【新型コロナ】モデルナ製ワクチンの2回目接種後に4人に3人が発熱 ファイザー製より高い可能性も
日本で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一環として、mRNAワクチンであるファイザー/BioNTechの「コミナティ筋注」、および武田/モデルナの「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」によるワクチン接種が実施されている。COVID-19ワクチン接種での最大の課題は、アナフィラキシーを含む接種直後に起きる副反応(急性期副反応)に安全・確実に対処することだ。
とくに国内での武田/モデルナのワクチン接種後の急性期副反応に関する報告は少数であり、その知見は十分に集積されていない。そこで、順天堂大学医学部臨床研究・治験センター客員教授の伊藤澄信氏が代表研究者を務める「COVID-19用ワクチンに関するコホート調査」の経過報告が公開された。
対象となったのは、7月19日時点で、1回目接種を受けた1万2,253人と、2回目接種を受けた3,772人。20代が19.6%、30代が30.2%、40代が35.1%、50代が14.9%、60歳以上が0.2%、男性95.3%、女性4.7%、自衛官95.6%、事務4.3%、医師・看護師・放射線技師で0.1%だった。解析の対象となったのは2回目接種では980人だ。
その結果、武田/モデルナ製の新型コロナワクチン2回目を接種後に37.5度以上の発熱を経験する人の割合は、国内ではファイザー製の2回目接種後よりも高い可能性があることが分かった。
接種後に37.5℃以上の発熱があったのは、ファイザー製で1回目3.3%、2回目38.1%(38℃以上は21.3%)だったの対し、モデルナ製では1回目6.7%、2回目78.0%(38℃以上は61.8%)と倍近くに上った。
また、倦怠感があったのは、ファイザー製で1回目23.2%、2回目68.9%だったの対し、モデルナ製では1回目27.5%、2回目86.1%と、こちらもモデルナ製の方が高かった。
頭痛は、ファイザー製で1回目21.4%、2回目53.1%だったの対し、モデルナ製では1回目17.7%、2回目67.4%だった。
同調査では、こうした急性期副反応は、女性のほうが頻度が高い傾向もみられた。
接種後7日目以降に接種部位で起こる痛みや腫れ、紅斑などの症状、通称「モデルナアーム」(遅延性皮膚反応)も一定数確認されている。
なお、2回目接種を受けた対象者は980人と少なく、自衛隊員が大半で男性が94.7%を占めるほか、被接種者の筋肉量や、労働環境の違いが影響している可能性も指摘されており、単純比較はできないとの見方も出ている。
同コホート調査で武田/モデルナ製に関する情報収集している対象者の数は約1万人。国立病院機構17病院、地域医療機能推進機構6病院、自衛隊9施設が協力している。今後の詳細な調査結果の報告が待たれている。
研究班の代表で、伊藤客員教授は「接種から3日後には症状がおさまっていることが多いが、発熱は38℃以上に達することもある。とくに高齢者は、あまり自覚症状が出ないことも考えられる。とくに2回目の接種後は安静にして、仕事や学校を休むことも検討してほしい」と述べている。
厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)(厚生労働省)
武田/モデルナ社の新型コロナワクチンについて(厚生労働省)