「ソーシャルメディア」の使いすぎがメンタルヘルスを悪化 1日に30分減らしただけで仕事の満足度も向上 簡単で効果の高い方法に


 ソーシャルメディアの使いすぎが、ストレスを高めているという研究が発表された。従業員が過労やストレスを感じていると、仕事への取り組みが低下し、パフォーマンスも低下する。

 ソーシャルメディアの使用を減らすことは、メンタルヘルスと仕事の満足度などを改善する、シンプルで費用対効果の高い方法になる可能性があるとしている。

 「ソーシャルメディアに費やす時間が、仕事や生活でのリアルな人とのつながりを妨げ、それが孤立感を増大させている可能性もあります」と、研究者は指摘している。

ソーシャルメディアを使うのを止めるとメンタルヘルスや仕事が改善

 ストレスや過労を感じることが多くなったと感じている人はいないだろうか。その原因は、ソーシャルメディアの使いすぎかもしれない。

 「フェイスブック」「X(旧ツイッター)」「LINE」などのソーシャルメディアの使いすぎは、ストレスを高めるという研究が発表された。

 ソーシャルメディアは、個人や企業などが情報を発信・拡散・共有することで形成される、インターネットを通じた情報交流サービス。

 ソーシャルメディアの使用を、1日に30分減らしただけで、過労やストレスを軽減できるという。これは、ドイツのルール大学ボーフム精神保健研究・治療センターなどの研究で明らかになったこと。

 従業員が過労やストレスを感じていると、仕事への取り組みが低下し、パフォーマンスも低下する。多くの企業はこの問題を認識しており、従業員のメンタルヘルスケアのために費用を使っている。

 「ソーシャルメディアの使用を減らすことは、メンタルヘルスと仕事の満足度、コミットメントを改善するための、シンプルで費用対効果の高い方法になる可能性があります」と、同センターで臨床心理学を研究しているジュリア ブライロフスカヤ氏は言う。

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ソーシャル ネットワークが気分を改善 でも長期的には逆効果に

 ソーシャルメディアは今では、若い世代だけでなく、多くの人々にとって生活に不可欠なツールとなっている。ソーシャルメディアの利用がもたらす影響について、多くの調査結果が報告されている。

 ソーシャル メディアを利用することで、気分が高揚することを示した研究がある一方で、メンタルヘルスに悪影響をおよぼし、ユーザーは集中力が続かなくなり、自分にとって重要なことを見逃すことを助長しているという研究も発表されている。

 「自分がいないあいだに、他人が有益な体験をしているかもしれない」といった不安に襲われる現象は、「FOMO(fear of missing out)」と呼ばれている。

 「多くの人は、とくに過労を感じているときに、日常の仕事や生活で失われているポジティブな感情をえるために、ソーシャルネットワークを利用していると考えられます」と、ブライロフスカヤ氏は指摘する。

 短期的には、現実からソーシャル ネットワークの世界に逃避すると、確かに気分が改善するかもしれない。しかし、そうした行動により長期的には、中毒性が高まり、逆効果となる可能性もあるとしている。

ソーシャルメディアの使用を30分減らしたら良い結果に 仕事の満足度も改善

 研究グループは今回、フルタイムまたはパートタイムの仕事に就いている労働者166人を対象に、1日のソーシャルメディアの使用時間を減らすことで、仕事に対する満足度やメンタルヘルスなどがどう変化するかを調べた。

 参加者は平均して、仕事と関係しないソーシャルメディアを1日35分以上使用していた。

 参加者を、7日間にわたり1日のソーシャルメディアの使用時間を30分減らす群(介入群、平均年齢29.38歳)と、ふだん通りに使用する群(対照群、平均年齢30.06歳)にランダムに割り付けた。

 試験開始時と介入後、介入から1週間後の3つの時点でオンライン調査を行い、仕事に関連する因子やメンタルヘルスについての評価を行った。

 その結果、介入群では仕事に関連する過負荷、ストレス、FOMO、ソーシャルメディア使用への依存が有意に減少し、仕事の満足度、仕事への関与、メンタルヘルスは有意に改善することが示された。

 ソーシャルメディアの使用時間を減らすことでえられるこうした効果は、介入の終了から1週間以上持続し、なかにはさらに改善する人もいた。

 また、介入群のなかには、試験の終了後も自主的にソーシャルメディアの使用を減らした人もいたという。

リアルな人とのつながりを妨げ、孤立感を強めている可能性も

 「ソーシャルメディアの使用時間を30分減らすことで、試験の参加者は、自分の仕事をする時間が増え、仕事の負荷が軽減され、注意力が散漫になることも減ったと考えられます」と、ブライロフスカヤ氏は言う。

 「わたしたちの脳には、決められたタスクから注意を逸らすことで、機能が高まる性質があります。しかし、ソーシャルメディアを使いすぎると、仕事を頻繁に中断することになり、集中力を維持するのが難しくなり、それが悪い結果をもたらします」。

 「さらに、ソーシャルメディアに費やす時間が、実生活での同僚との交流を妨げ、それが孤立感を増大させている可能性もあります。ソーシャルメディアに費やす時間を減らせば、こうした影響を軽減できる可能性があります」としている。

 今回の研究結果は、1日のソーシャルメディアの使用時間を20~30分減らすことで、うつ症状が軽減し、メンタルヘルスが改善することを示した先行研究の結果とも一致するとしている。

 「1日のソーシャルメディアに費やす時間を削減することは、ビジネスコーチングやトレーニング、メンタルヘルスプログラム、心理療法的介入にも役立つ可能性があります」と、ブライロフスカヤ氏は指摘している。

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Less social media use – more satisfied, work-engaged and mentally healthy employees: an experimental intervention study (Behaviour & Information Technology 2023年12月8日)
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