男性の育児休業等取得率を調査 回答企業の取得率は46.2% 「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」
厚生労働省は2024年7月に、「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」の報告書を発表した。
全国の従業員1,000人以上のすべての企業・団体を対象に行った調査で、回答企業では男性の育児休業等取得率は46.2%、取得日数の平均は46.5日だったことが分かった。
2023年4月1日より、社員数1,000人以上の企業は年に1回、男性社員の育児休業等の取得状況を公表することが義務づけられている。
調査は2023年6月5日から7月14日にかけ、全国の従業員1,000人以上のすべての企業・団体を対象とし、1478件の回答を得た。回答率は33.5%だった。
回答企業における男性の育児休業等取得率は46.2%。業種別で比べると「教育、学習支援業」は41%が「20%未満」、52.5%が「20%以上40%未満」と回答しており、取得率の低さが目立った。
一方「金融業、保険業」で「80%以上」と回答した企業は58.8%に上り、他業種と比べて圧倒的に高かった。
また、男性の育児休業取得日数の平均は46.5日で、特に「教育、学習支援業」や「医療、福祉」、「サービス業」業種では取得日数が「30日以上」とする割合が高かった。一方、「14日未満」とした回答の割合が多かったのは「金融業、保険業」で63.2%。
これらの結果から、たとえば「金融業、保険業」では育児休業等取得率は高いものの、育児休業の平均取得日数は短い傾向にある。男性の育児休業等取得率と平均取得日数には「弱い負の相関」が見られる。
回答企業のうち、調査時点の6月1日で男性の育児休業等取得率を公表している企業の割合は54.9%。公表方法としては「厚生労働省『両立支援のひろば』」が最も多く66.5%、次いで「自社ウェブサイト」が46.2%だった。
男性の育児休業等取得率等の公表によって、どのような効果や変化があったかを聞いた設問では、「社内の男性育休取得率の増加」(44.5%)や「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化」(42.4%)の回答割合が高かった。
また「新卒・中途採用応募人材の増加」にも11.1%の回答があり、人材獲得の面でも一定の効果が感じられているようだ。
一方、男性の育児休業等取得率が上がることによる効果は、「職場風土の改善」(56%)、「従業員満足度・ワークエンゲージメントの向上」(45.9%)の回答割合が高かった。当事者だけではなく、職場全体に好影響を及ぼしていることが伺える。
また働き方改革の取り組み状況は、男性の育児休業等取得率が高い企業群の方が、低い企業群より「柔軟な働き方がしやすい環境整備(テレワーク、副業・兼業など)」等の取り組み割合が高い傾向が見られた。
政府は、男性の育児休業等取得率について「2025年までに50%」とする目標を掲げており、同調査の結果の分析を踏まえ、さらなる取得率向上が期待される。
「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」 報告書(厚生労働省イクメンプロジェクト)
厚生労働省「イクメンプロジェクト」ホームページ
男性の育児休業取得率等の公表について「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」
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