運動の要素を取り入れたビデオゲームが運動不足や腰痛を改善 室内で運動に気軽に取り組め楽しく続けられる

 新型コロナの感染拡大の影響で、屋外での運動機会が減り、運動不足や体力低下・体重増加、いわゆる”コロナ太り”を感じている人は多い。

 また、今年の夏も猛暑日が多く、多くの人は外出が減り運動不足になった。

 テレビゲームに運動や身体活動の要素を取り入れた「エクサゲーム」であれば、室内で運動に気軽に取り組め、楽しく続けられると発表された。

 体を動かしながらプレイするエクサゲームは、室内で快適に運動でき、利用者が繰り返し参加できる仕掛けもしてあり、運動を無理なく楽しく続けるとしている。

コロナ禍と猛暑で運動機会が減少 テレビゲームで運動不足を解消

 新型コロナの感染拡大の影響で、屋外での運動機会が減り、運動不足や体力低下・体重増加、いわゆる”コロナ太り”を感じている人は多い。

 また、今年の夏も全国各地で35℃を越える猛暑日が多く、40℃以上を観測した地域もある。連日の猛暑により外出が減り、運動不足になったという人も多い。

 運動の効果は理解していても、運動習慣のない人が、新たに運動をはじめ、続けるのは簡単なことではない。

 毎日を忙しく過ごしていて、1日に運動をする時間をつくってモチベーションを維持するのが難しいという人も多い。

 そういう人は、屋内でテレビゲームを使って運動をすると、運動不足を解消できる可能性がある。

 テレビゲームに運動や身体活動の要素を取り入れた「エクサゲーム」(Exergame)であれば、運動に気軽に取り組め、楽しく続けられることが報告された。

 エクサゲームとは、エクササイズとゲームを合わせた造語。15年以上前に「バランスWiiボード」や「ダンスダンスレボリューション」などが人気を集めて以来、ゲーム機器やコンピュータなどに運動の要素を取り入れる試みは注目されている。

 エクサゲームに取り組むことで、体力が向上し、運動に対して意欲的になれ、座ったまま過ごす時間を減らすのにも効果的としている。

エクサゲームで遊ぶと楽しく運動できるという結果に

 エクササイズを組みこんだテレビゲームは、双方向的なやりとりが可能で、ビデオと音声により運動のテクニックを教え、利用者にフィードバックを提供できるよう工夫されているものがある。

 利用者が、パフォーマンスにもとづき採点も受けられ、モチベーションを高め維持できるようにプログラムされてあるものもあるという。

 米ジョージア大学は、運動ガイドラインで推奨されている、1週間に150分の運動・身体活動を行うという基準を満たしていない、運動不足の18~24歳の男女55人を対象に、6週間の試験を実施した。

 研究グループは、参加者をランダムに、エクサゲームに取り組む群と、従来のエアロビクス教室に定期的に参加する群に振り分けた。エクサゲームは、人気のあるゲームから自由に選択できるようにした。

 その結果、エクサゲームに取り組んだ群は、運動をしている時間をより楽しく過ごせたことが示された。さらには運動ルーチンに対して自分でコントロールできている自信が高まり、運動を続けることに意欲的になり、他の運動に対してもよりオープンな気持ちになっている傾向が示された。

 一方、従来の運動クラスに割り当てられた群は、エクサゲームの群よりも活動量は多かったが、運動の継続に対するプレッシャーや義務感、ストレスなどを感じていることも示された。

 「誰かの指導を受けて運動をするのと、自分で進んで運動に取り組むのとでは、運動を続けるうえで大きな違いが出てくると考えられます」と、同大学運動学部のサーミ・イリ-ピイパリ氏は言う。

 「運動にテクノロジーを取り入れ支援する取り組みは始まったばかりですが、とくにこれまで運動をする習慣をもたなかった人々に対して、より良い方向へ導く第一歩となる可能性があります」としている。

アクティブなテレビゲームにより運動量を増やせるかを調査
ブリガムヤング大学が公開しているビデオ

アクティブなテレビゲームで腰痛を改善 慢性的な腰痛を27%軽減

 アクティブなテレビゲームを上手に活用すると、慢性的な腰痛を27%軽減できるという研究も報告されている。詳細は、米国理学療法学会が刊行している「Physical Therapy & Rehabilitation Journal」に掲載された。

 オーストラリアのシドニー大学は、慢性腰痛のある平均年齢67歳の成人60人に参加してもらい、8週間の試験を行った。理学療法士が監修した、室内でできるゲームプログラムに取り組んでもらった。

 使用されたエクササイズを組みこんだテレビゲームは、双方向的なやりとりが可能で、ビデオと音声により運動のテクニックを教え、利用者にフィードバックを提供できるよう工夫されていた。

 利用者は、パフォーマンスにもとづき採点も受けられ、モチベーションを高め維持できるように作ってあった。

 その結果、参加者はエクササイズによって、痛みが27%軽減し、身体機能は23%向上した。従来の運動プログラムに比べて、利用者の順守率もはるかに高かったという。

 「こうしたゲームを使った新しい運動プログラムは、室内での運動を通じて、慢性腰痛を自己管理する意欲を高め、痛みがあっても日常活動を続ける能力を向上させるためのユニークな解決策となる可能性があります」と、同大学公衆衛生学部の理学療法士であるジョシュア ザドロ氏は述べている。

 慢性的な腰痛は、加齢とともに重症化し、障害を引き起こし、バランス・筋力・歩行速度などの身体機能に重大な影響を及ぼす可能性がある。

Active Video Games Provide Alternative Workout (ジョージア大学 2022年3月22日)
Short- and longer-term psychological and behavioral effects of exergaming and traditional aerobic training: A randomized controlled trial (International Journal of Sport and Exercise Psychology 2022年1月17日)
Can video game exercises help chronic low back pain? (シドニー大学 2018年9月20日)
Video-Game-Based Exercises for Older People With Chronic Low Back Pain: A Randomized Controlledtable Trial (GAMEBACK) (Physical Therapy & Rehabilitation Journal 2018年9月20日)


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