次期学習指導要領案に対するパブリック・コメントを実施
次期学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)が実施され、当研究所代表理事の加藤からコメントを提出しました。
案件名
学校教育法施行規則の一部を改正する省令案並びに幼稚園教育要領案、小学校学習指導要領案及び中学校学習指導要領案に対する意見公募手続(パブリック・コメント)の実施について
提出日時
2017年03月06日14時59分
提出意見
小学校学習指導要領案について
「第9節 体 育 第5学年及び第6学年」に「医薬品の適正使用」が取り入れられなかったことについて。
今後の高齢化社会、セルフメディケーションの重要性などを考える時、「医薬品の適正使用」に関する教育は、小・中・高等学校と子供の発育に合わせて繰り返し取り上げることが大切であると考える。
背景と根拠
1) 前回の改訂でこの項目が中学校保健体育に組みいてられ、用法・用量などの正しい飲み方、飲み合わせ、副作用などが主要項目になっているが、これらについては、小学校でも十分対応できることが、小学校でこの教育を試みている多くの事例から伺われる。
2) 医薬品の適正使用を含む健康教育は、保護者に対しても必要なことが現場から出ているが、これは小学校において生徒への教育と連動して行うことが効果的である(中学の保護者では遅い)。
3) 薬物乱用防止教育は小学校に組み入れられているが、医薬品の適正使用と対比しての指導がこれらの教育で有効であることが、トライアルと生徒からのアンケートの結果からわかる(従来のダメ、絶対!の薬物乱用防止教育の限界)。
4) 医薬品に関する教育においては、現行の「正しい使い方」に加え、疾病との関連で適正使用を考える、すなわちかぜ薬の対症療法、感染症における抗菌薬の適正使用(耐性菌に触れる)、ガン教育における作用と副作用さらに緩和ケアなどの事項は、今後重要な課題となる。感染症や新たなガン教育等が中学校に組み込まれることを考慮すれば、教材などの検討により、中学校保健体育に組み込むことができると考える。
5) 疾病との関連で適正使用を考える課題としてさらに「薬物乱用頭痛」(実際に、中・高校生の不安・危険性がアンケートなどから伺われる)など医薬品(睡眠薬・向精神薬も含む)の乱用の危険性に関する教育が必要である。