大人の風しん抗体検査とワクチン接種を呼びかけ~東京都福祉保健局
今春、小学校に入学する子どもたちの保護者に向け、3月31日までに、麻しん(はしか)・風しんワクチンの2回目の接種が呼びかけられている。一方で、大人の中にも風しんの十分な免疫を持っていない人が多く、平成24年から25年にかけては大流行して社会問題となった。妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんが目や耳、心臓などに障害のある「先天性風しん症候群」にかかるおそれがあることから、東京都福祉保健局では大人を対象に、風しん抗体検査やワクチン接種も呼びかけ、助成事業(全額または一部)の周知をはかっている。
東京都感染症情報センターの疾病集計による風しんの報告数は、平成25年の3,445人をピークに、平成26年以降は減少に転じている。しかし平成29年は12月3日までで22人の報告があり、ワクチンで予防できる病気であるのにも関わらずゼロにはなっていない。
国立感染症研究所作成の『職場における風しん対策ガイドライン』によると、男女や年代別で風しんの予防接種制度が異なっていたことが分かる。特に、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は、1回も風しんの予防接種を受けていない。
(国立感染症研究所作成『職場における風しん対策ガイドライン』 より H26.3)
平成24年と25年の流行時に見られた特徴では、昭和48~55年度生まれの男性が顕著に多かった。1回の予防接種では抗体が十分に作られていないケースがあり、また時間の経過に伴って抗体が減少していることもあることから、2回接種が確実とされる。
東京都内では、すべての区市町村で、妊娠を予定または希望している女性(配偶者などが対象に含まれる自治体もある)には、抗体検査を無料で実施。風しん免疫が不十分であると判明した人には、予防接種費用の助成(全額または一部)も行われている。要件や申し込み方法などは自治体によって異なるため、一覧を参照し、居住している区市町村に問い合わせればよい。
平成27年度に風しん抗体検査を行った自治体のまとめでは、中央区の場合、316人の男性が受験し、低抗体者が97人(30.7%)。女性は430人が受験し、108人(25.1%)が低抗体だった。中には、男女合計の低抗体者数の割合が4割近くになる自治体もあった。
東京都福祉保健局の担当者は、大人は助成制度を利用して、積極的に風しんの抗体検査や予防接種を受けてほしい、と話している。
都内の麻しん風しん定期予防接種実施状況
風しん対策・先天性風しん症候群発生防止に向けた取組
記事提供:日本医療・健康情報研究所