6割強が食中毒予防で「肉は水で洗う」に効果があると誤解-東京都の実態調査

 東京都はこのほど、都民の食中毒予防について認識や実践などの実態調査を行った。普段の食事で気を使っていることとして、「食中毒の予防」をあげた人は22.8%にとどまった一方、食中毒予防のためには「肉は水で洗う」など、調理や食品の保存において誤解した認識を持つ人が多いことも明らかになった。

 「家庭における食中毒予防に関する調査」は、予備調査やグループインタビューを経て、本調査は家庭で週に1回以上、調理している20~79歳の都民を対象にwebアンケートで行われた。

 本調査の結果、食品の購入や家庭での保存時に実践していることについては、5割以上の人が「肉、魚、野菜などの生鮮食品は新鮮なものを購入する」、「肉や魚は汁がもれないようにビニール袋に分けて包み、持ち帰る」、「家庭の冷蔵庫では肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れる、下の段に置くなど他の食品に汁がかからないようにする」を「必ずやっている」と回答。

 一方、「冷蔵や冷凍の必要な食品は買い物の最後に購入し、保冷バッグに入れるなど、冷やして持ち帰る」については、ほとんど実施できていない人が全体の約3割を占めた。家庭での冷蔵庫についても「詰めすぎ」や「開け閉めをできるだけ少なくする」といったことを必ずやっていると言えない人の割合が高く、保冷についての意識の低さが見られた。

食中毒予防対策の方法に誤解や過信も

 また下準備や調理の時、食中毒予防のために実践していることについては「調理の前、生の肉、卵を取り扱った時、トイレの後は、手を洗う」は7割の人が実施。

 しかし「肉は表面の菌を取り除くためにまず水で洗う」については6割強の人が食中毒予防に「絶対に必要」、もしくは「やらないよりやった方がいい」と回答していた。さらに「絶対に必要」と答えた人のうち、実践している人が全体の11.2%もいることが明らかになった。

 同様に、「冷凍の食品は常温でなるべく早く解答する」についても13.1%、「冷凍の食品を解凍した後、使わなかったらまた冷凍保存する」についても14.3%の人が「必ず必要」で実践していると答えており、誤解が広がっている様子がうかがえる。

 一方、「保存性を高めたい時には酢を入れる」や「弁当には殺菌のため梅干しを入れる」について「絶対に必要」もしくは「やらないよりやった方がいい」と回答した人が、それぞれ全体の8割を占め、都は効果を過信している可能性も指摘している。

レシピサイトの掲載内容に食品衛生面での疑問や不安を感じる人も多数

 調査では、家庭で作り置きする機会の多いカレーやシチューについても調査。家で調理したカレーやシチューなどが残った時、40.5%の人が「小分けして冷蔵又は冷凍」、28.3%が「鍋のまま冷蔵」、17.9%が「鍋のまま常温」で保管すると答えていた。

 また保管したカレー等の再加熱は、「作った鍋のまま、常温保管」する人のうち、29.6%が少なくとも3日後まで食べていたが、43.4%が「食べごろの温度になるまで」しか再加熱していなかった。

 ほかにも賞味期限や消費期限の確認や順守状況、食中毒に関する家庭内での教育状況などについても調査。レシピサイトの利用状況は74.8%が「見る」と回答していた一方、掲載されたレシピに食品衛生面での疑問や不安を感じたことがある人が42.6%に上ることなども明らかになった。

 都では予備調査から本調査までの一連の結果を受けて、ホームページやSNSでの情報発信を効果的に活用するとともに、レシピサイトを介した正確な情報発信についても検討していく方針だという。

報道発表 「家庭における食中毒予防に関する調査」の結果(東京都)
「家庭における食中毒予防に関する調査」報告書 全文(東京都福祉保健局及び健康安全研究センター)

記事提供:日本医療・健康情報研究所