【新型コロナ】電子タバコを吸う若者でCOVID-19の感染リスクが5~7倍に上昇

 電子タバコを吸う習慣がある人は、とくに若者で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しやすく、感染した場合は重症化しやすいことが明らかになった。
電子タバコを吸うとCOVID-19の感染リスクが5~7倍に上昇

 電子タバコを吸っている人は、タバコを吸わない人に比べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染しやすく、感染した場合に重症化しやすいことが、米国の若年者を対象とした調査で明らかになった。

 喫煙、とくに電子タバコの使用が、COVID-19のリスクが大きく上昇させることがはじめて示された。研究は、米スタンフォード大学医学部によるもので、詳細は医学誌「Journal of Adolescent Health」オンライン版に掲載された。

 研究グループは、2020年5月6日~14日にかけて、13~24歳の若年者4,351人を対象に、紙タバコおよび電子タバコの使用状況とCOVID-19の感染、検査の受診、陽性率についてオンライン調査を実施。

 その結果、電子タバコを吸っている若者は、吸わない若者に比べ、COVID-19の検査で陽性反応で出る割合が5~7倍高いことが明らかになった。

電子タバコと紙巻タバコの両方を吸うと、リスクはさらに上昇

 「電子タバコを使用している喫煙者がCOVID-19に罹患しやすいこといくつかの生物学的な理由が考えられます」と、同大学小児科のボニー ハルパーン フェルシャー教授は言う。

 「電子タバコを吸うことで、肺に慢性的に損傷が与えられます。それに加え、新型コロナウイルスに感染することで、直接的な反応が起こる可能性が高いのです」。

 過去30日間のタバコを使用との関連を調べたところ、電子タバコと紙巻タバコの両方を吸っていた若者は、COVID-19に関連する症状(咳、発熱、疲労、呼吸困難など)があらわれるリスクがほぼ5倍に上昇した。検査で陽性反応が出るリスクは9倍以上に上昇した。

COVID-19が収束するまで、電子タバコを規制するべき

 「若者は、自分の年齢では新型コロナウイルスの感染リスクが低く、感染しても重症化しにくいと考えがちです。しかし、少なくとも電子タバコを吸っている若者に限ってみると、そうしたことは当てはまらず、感染リスクは大幅に上昇することが示されました」と、同大学小児科の博士研究員であるシヴァニ マトゥール ガイハ氏は言う。

 一方で、調査を実施した5月頃は、米国でCOVID-19の検査を受けた人の数が増えた点も指摘。電子タバコや紙巻タバコを吸う習慣のある若者は、そうでない若者よりも、検査を受ける割合が2.6〜9倍高かったという。

 研究グループは、今回の調査でもCOVID-19の検査を受けた参加者のうち、電子タバコを使用したことのある人は、そうでない人よりも、検査を受けた割合が5倍高かった点を指摘している。

 この研究結果を受け、米国内では食品医薬品局(FDA)に対して、COVID-19が収束するまで、電子タバコ製品の販売を規制するべきだという声が高まっている。

 「電子タバコの危険性はかなり高く、COVID-19や肺疾患のリスクを上昇させます。電子タバコは、単なるフレーバー付きの水蒸気ではありません。利用者を危険にさらしていることを、社会に広く知ってもらう必要があります」と、ハルパーン フェルシャー教授は強調している。

Vaping linked to COVID-19 risk in teens and young adults(スタンフォード大学 2020年8月11日)
Association Between Youth Smoking, Electronic Cigarette Use, and Coronavirus Disease 2019(Journal of Adolescent Health 2020年8月11日)