厚労省専門委が5歳児虐待死亡事件の検証結果を公表

 厚生労働省はこのほど、今年3月に発生した5歳児の虐待死亡事件について報告を取りまとめ、発表した。
 過去の死亡事例検証でも指摘されている内容で、同様の事態が繰り返し起きている事実を重く受け止め、全国で十分なアセスメントやソーシャルワークが行われるよう求めている。

第14次報告での新たな試み

 子ども虐待による死亡事件例等の検証は、社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」で行われ、今回で14次の報告となる。

 今回は新たな試みとして、当事例のみを検証して問題点を抽出し、対応策をまとめた。

事例の詳細と検証

 当事例では、虐待死した女児が今年1月下旬に転居しており、転居前後の自治体における児童相談所などの関与があった中で発生した。そのため、転居前と転居後の自治体それぞれにおけるリスクアセスメントとソーシャルワークについて、また引き継ぎ状態がどうであったか、について問題点と対応策がまとめられた。

 このうち転居前の自治体では、児童相談所が医療関係者や弁護士など専門的な知見を踏まえた対応を怠っていたことなどを指摘。また状況変化について、リスクアセスメントシートなどの記録が残されていなかったことを問題として挙げた。

 また女児の家庭はステップファミリーで、加害者である養父の関係性も踏まえたリスクアセスメントが行われていなかった。若年出産を行った実母についても、母子保健主管課と連携して虐待予防も踏まえた対応ができていなかったことを問題視した。

 また、今回の事例ではこれまでの死亡事例等の検証でも指摘された内容や、平成28年の児童福祉法改正など虐待防止のために取り組んでいる内容で対応できていれば防げた可能性について示唆。児童虐待が疑われる場合の対応策について今後より一層の周知と、取り組み体制の整備を進めることを求めた。

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