体力や運動能力はコロナ禍前の水準に至らず 令和6年度「東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果」

東京都教育委員会はこのほど、「令和6年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果」の概要を公表した。
体力や運動能力、生活習慣や運動習慣について状況を把握するもので、平均的な体力レベル以上を持つ児童と生徒の割合が、いまだコロナ禍以前の水準に戻っていないことが明らかになった。
東京都教育委員会は、運動の多様な関わり方(する・みる・支える・知る)を取り入れた取り組みを推進。楽しみながら体力を高め、生涯にわたり体力を向上・維持するとともに、健康的で活動的な生活習慣を形成することを目指しており、そのための施策として「TOKYO ACTIVE PLAN for students」を策定している。
その一環として、都内公立学校の全児童・生徒を対象に「東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査(東京都統一体力テスト)」を実施。結果を分析し、現状把握と今後の取り組みに生かしており、令和6年度の調査結果がこのほど公表された。
令和6年度の調査は都内公立学校に通う児童・生徒、計2173校・96万708人を対象に実施した。この中で、小5、中2、高2(全日制)の結果について抜粋し、過去との推移を分析している。
まず「体力・運動能力」については、体力総合評価C以上(A+B+C)の割合を調べた。「体力総合評価」は新体力テストでの握力や上体起こし、反復横とびなど実技8種目の合計得点から評価基準表に基づき、AからEの5段階で評価される。
このうち「体力総合評価C以上」とは、平均的な体力レベル以上を持つ児童と生徒の割合を示しており、学校や教育委員会が体力づくりの取り組みの成果を評価する際に用いられる。
東京都の小5、中2、高2の「体力総合評価C以上」の割合について推移を見ると、前年比で男子はいずれも増加しているが、女子は減少していた。しかし男子であっても、コロナ禍前の令和元年度の水準には至っていない。そのため東京都教育委員会では「体育や保健体育の授業の充実と共に、多様な運動機会の創出が必要」だとしている。
一方、生活習慣や運動習慣の実態については質問紙の回答で調査した。「朝食を毎日食べない」と答えた児童・生徒の割合は上昇傾向にあり、特に高2は男女ともに1割近い結果となっていた。また睡眠時間が6時間未満と答えた高2の女子は4割弱を占め、生活習慣の乱れが懸念されている。
運動習慣について、1週間の総運動時間が420分以上(1日平均60分以上)の児童・生徒の割合を見ると、男子はいずれも前年に比べて増加していたが、コロナ禍前の水準には至っていなかった。女子は中2で令和4・5年度は半数を超えたが、令和6年度は再び5割を割り込んでいる。特に高2では、令和3年度以降、連続して減少している。
最後に運動やスポーツをすることが好きかどうか聞いた意識調査では、「そう思う」と答えた児童・生徒の割合が、中2女子以外では、コロナ禍前の令和元年度と比べて増加していた。ただし、年齢が上がるにつれて割合は減少しており、中高生になっても運動が好きだと感じられるような環境づくりが求められる。
東京都教育委員会では「Tokyo体育健康教育ポータル」を開設し、体育や健康教育に関する情報を提供すると同時に、児童・生徒の健康的な生活習慣の形成を支援するための情報を集約している。
「健康的な生活スタイル」や「多様なニーズに応じた運動部活動」などの項目で関連する取り組みや施策などについてまとめており、学校、保護者、関係団体などが連携し、子どもたち一人一人の体力向上を目指して取り組んでいく方針。
令和6年度東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果について(東京都)
東京都教育委員会ポータルサイト「Tokyo体育健康教育ポータル」
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