未成年者のインフルエンザ罹患後異常行動に具体的な注意喚起を追加

 厚生労働省はこのほど、小児・未成年者がインフルエンザにかかった際の異常行動について、注意喚起の徹底を医療機関などに要請した。抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無に関わらず、異常行動が報告されているため、改めて保護者等に、従来の注意喚起に加え、小児・未成年者が住居外に飛び出ないための具体的な対策について説明を促すもの。

 平成28年9月から平成29年8月までの「抗インフルエンザウイルス薬服用時」の異常行動の報告は54件あり、うち死亡件数は2件(いずれも未成年)あった。

 一方、「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究」(研究代表者:川崎市健康安全研究所所長 岡部信彦)では、インフルエンザウイルス薬の服用の有無に関わらず、インフルエンザ様疾患と診断され、飛び降りや急に走り出すなど、重度の異常行動を示した患者の報告を医療機関に求めている。

 その結果、抗インフルエンザウイルス薬の種類や使用の有無と、異常行動については、特定の関係に限られるものではないと考えられている。これらのことから、今年11月9日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は、抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無、種類に関わらず、異常行動について注意喚起を徹底することが適当だと判断。

 インフルエンザと診断され、治療が開始されたあと少なくとも2日間、保護者は小児・未成年者を一人にしない、というこれまでの注意喚起に加え、小児・未成年者が住居外に飛び出ないための具体的な追加対策として、

(1)高層階の住居の場合
・玄関やすべての部屋の窓の施錠を確実に行う(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む)
・ベランダに面していない部屋で寝かせる
・窓に格子のある部屋で寝かせる(窓に格子がある部屋がある場合)
(2)一戸建ての場合
・(1)に加え、できる限り1階で寝かせる
 を保護者に説明するよう、医療機関等に協力を求めた。

 厚生労働省では「平成29年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」の「インフルエンザQ&A」での異常行動についての項目も、上記の内容で改訂を行い、関係製造販売業者に対しても注意喚起徹底を指示している。

小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、異常行動にご注意下さい(厚生労働省)
平成29年度インフルエンザQ&A(厚生労働省)

記事提供:日本医療・健康情報研究所