ネットゲーム依存は「ゲーム障害」 WHO「国際疾病分類」に掲載

 世界保健機関(WHO)は、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎにより日常生活が困難になる症状を、「ゲーム障害」と定義し、WHOの「国際疾病分類」(ICD)第11版に加える見通しだと明らかにした。

やめられない「ゲーム障害」は病気

 「ゲーム障害」(Gaming disorder)についての現在の定義は、「ゲームをすることを他の日常生活の活動よりも優先してしまう」「個人・家族・社会・教育・職業といった場面で、非常に重大な問題を発生させている」といった症状が12ヵ月以上続いた場合。

 スマートフォンの普及などに伴い、ゲーム依存は日本など各国で問題化している。特徴的な症状として、抑制が効かなくなり、たとえ日常に悪影響が生じてもゲームを優先させてしまう状態になる。

 WHOは、新たな疾患とすることで「各国政府が予防や治療、患者の社会復帰などの対策を求める際に参考にしやすくなる」と述べている。
 「ゲーム障害は比較的新しい概念であり、臨床症例の報告があるのみで、予防や治療法についての情報は少ない」としながらも、「インターネットやコンピューター、スマートフォンといった電子機器の使用がこの数十年で激増した」「これらを過剰に使用するために引き起こされる健康障害も報告されている」としている。

 サッカーのワールドカップが開かれたり、オリンピックへの採用が検討されたりするなど、ネットゲームが広く普及する中、ネット依存という負の側面の実態把握や対策に役立てられそうだ。

 WHOは現在、「国際疾病分類」(ICD)を改訂作業中で、今年半ばまでにゲーム障害も加えた最新版を公表する予定。「国際疾病分類」は病気や死因の統計に使われる病気の分類法。世界中の医療従事者や研究者が診断や調査に用いている。

Gaming disorder(世界保健機関 2018年1月5日)

記事提供:日本医療・健康情報研究所