体罰は子どもの脳の発達に深刻な影響をおよぼす 「体罰等によらない子育てのために」とりまとめを公開

 昨年6月に成立した児童福祉法等改正法により、親権者などが児童のしつけとして体罰を加えてはならないことが法定化され、4月から施行された。


 厚生労働省は「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」による「体罰等によらない子育てのために」をとりまとめ、公開した。

 児童相談所への児童虐待の相談対応件数は増加が続いているが、中には保護者が「しつけ」と称して暴力や虐待をふるうケースがある。

 日本には「しつけなので子どもを叩くことはやむを得ない」といった意識が根強く、徐々にエスカレートした結果、重篤な事態を引き起こす事例もあった。

 そのため2019年6月、児童福祉法の改正法で体罰は許されないものであることが法定化され、2020年4月1日からの施行が決定。子どもの権利が守られる体罰のない社会を実現していくためには、保護者に対する支援も含めて社会全体で取り組む必要性がある。

 今回のとりまとめは、体罰禁止についての考え方を社会全体に普及させ、社会全体で体罰等によらない子育てについて考えてもらうこと、また子育てで悩んでいる保護者に適切な支援がつながることを目的に作成。子育て中の人のほか、その周囲の人、教育現場をはじめとした子どもの生活の場で子育て支援に携わる人などを対象としている。

 内容は「しつけと体罰は何が違うのか」、「なぜ体罰等をしてはいけないのか」、「体罰等によらない子育てのために」などで、分かりやすく解説。


 最後に「子どもが健やかに成長・発達するためには、体罰等に対する意識を一人ひとりが変えていかなくてはなりません。同時に、保護者が孤立せず、子どもが育ちやすい社会であるために、体罰等を容認しない機運を醸成するとともに、寛容さを持って子どもの成長に暖かいまなざしを向け、社会全体で子育てを行っていく必要があります」と締めくくられている。

 「体罰等によらない子育てのために」のポスターやパンフレット、リーフレットはHPから閲覧でき、ダウンロードも可能。全ての人に周知され、体罰等によらない子育てが応援される社会づくりを進めていこうと呼び掛けている。